私が行政書士試験を受験したのは2022年(令和4年)の試験で、当時37歳でした。
現在は40代となっています。
会社勤めの知り合いから「40代からでも行政書士ってなれるもん?」みたいな質問をいただくケースが結構あり、需要のあるテーマなのかなと思いましたので、40代が行政書士を目指すことについて解説していきたいと思います。
40代の行政書士試験受験者は多いし開業者も多い
近年は若い方が行政書士試験を受験するケースも増えていますが、受験者数のボリュームゾーンは40代・50代となっています。
そして、行政書士登録式の際にも40台前後はもちろんですが、もっと年配の方も多い印象を受けました。
40代が脱サラして行政書士として開業する理由はさまざまですが、40代以降で開業してしっかり軌道に乗せている方は結構いらっしゃいます。
40代からでも行政書士は目指せる!年齢はそもそもあまり関係ない
結論から言えば、40代から行政書士を目指しても問題ありません。また、行政書士としての実務未経験でもなんとかなりますし、行政書士という仕事において「年齢」はそもそもあまり関係がないか、むしろある程度以上の年齢の方の方がいい可能性もあります。
過去の仕事や人生経験がそのまま武器になる
40代ともなるとさまざまな経験をしてきているかと思います(そうでない人もいるかもしれませんが)。
行政書士の業務範囲は非常に広いため、これまでの経験がダイレクトに活きる分野が必ずあります。
- 金融出身者:資金調達の知識を活かした融資サポートや補助金申請
- 建設業界出身者:建設業許可の申請代行
- 福祉業界出身者:介護や障害福祉関係の許認可
- 風営関係出身者:風俗営業許可などの申請
- 法務出身者:専門性を活かした契約書の作成
- 管理部門出身:自社の何らかの手続き等の業務経験
- 営業出身:仕事の獲得経験
等
上記はあくまで一例となります。意外なところでこれまでの経験が役立ったりします。
なので、過去を振り返ってみて専門的な業界・業務の経験がなくても心配はいりません。
私は行政書士としてお客様のところに訪問した際に、パソコンのメールの設定とかをやってあげたことがあります(有料で)。
なので、純粋に行政書士としての仕事ではない部分も含め、一般的なサラリーマンとしての営業経験や事務職の経験も、顧客獲得や継続依頼といった間接的な部分でも大いに役立ちます。
関係ないことで信頼を得て、定期的に許認可に関する業務をいただくケースも多いです。
また、40代ともなれば「会社組織がどのようなものか」を肌感覚で知っているはずです。この経験は、経営者のサポートを行う上で非常に強力な武器になり、業務を円滑に進める助けになります。
働いた経験が浅くても謙虚に学ぶ意識があればなんとかなると思う(たぶん)
40代の強みはこれまでの経験が活きることであると記載しましたが、これまでほとんど働いた経験がないという方もいるかもしれません。
そのような場合、基本的なビジネススキル・マナーから学ぶ必要があるため大変な部分はあると思いますが、それでもなんとかできるかなと個人的には感じています。
行政書士のメイン業務である「許認可業務」は、「極端な表現」をすると誰でもできる業務が大半です。
どういうことかというと、許認可を取得するための要件等はある程度行政側が資料としてまとめてくれている他、わからないことがあれば行政側へ電話等をすればある程度問題が解決できる場合が多いです。
なので、多くの許認可は行政書士ではなく、お客様自身が完結できるものが大半となっています。
つまり、手続き業務に関して長年の実務経験が必要といった業務はそんなに多くないのです。
私自身もしょっちゅう初めての手続きに遭遇しますが、その都度なんとかしながら進めています。
ただ、わからないことを何とかする能力、長文を読み込む能力・集中力みたいなものは必要かなと思います。
※とはいえ素人同然だと受任ができませんし迷惑がかかるので勉強は必須です。地道に経験を積んでレベルアップしていく必要はもちろんあります。
実務未経験でも大丈夫
実務については先ほど少し触れましたが、「実務未経験から独立して本当にやっていけるのか?」という不安を感じる方も多いでしょう。
行政書士の仕事は「何年も下積みがないとできない」というような職人的な仕事ではありません(あるに越したことはありませんが)。
実務に関する日々の勉強は必要不可欠なのは間違いないのですが、ほとんどの許認可申請は行政手続きに精通していない申請者自身でもできるものが大半です。
なので、未経験でも調べながらやればなんとかできるものが多いため、独立開業は可能です。
ただし、楽勝というわけではありません。むしろ不安でたまらなくなると思います。それを乗り越えていくことで自信がつくとともに、コツやポイントがわかってくるかと思います。
なお、行政書士会が開催する実務講座のほか、民間(同業者)の実務講座というものもあるので、それを利用するという手段等もあります。
このほか、同業者との情報交換も重要でしょう。
新人もベテランもまっさらなところから始まる新たな業務も結構多い
さらに大きなポイントは、新しい制度や新しい許認可ができたときは、ベテランも新人も全員「ゼロからのスタート」になるということです。
新しい分野にいち早く目を向けて専門家になれば、未経験の新人でも一気にチャンスを掴むことができます。
近年であればドローン関連の許認可は若い先生方が活躍していたりします。
私も開業した際に参入した業務ですが、やはり仕事は取りやすかったです。
こういうのが定期的に発生します。
会社勤めなど働きながらでも行政書士試験合格は十分可能
「40代になると体力も記憶力も落ちているから、試験勉強がキツいのでは…」と心配になる方もいると思います。 確かに20代の頃と比べると暗記に苦労するかもしれませんが、行政書士試験はそこまで理不尽に合格が難しい試験ではありません。正しい努力をすれば結果が出やすい試験です。
今の仕事を続けながらでも十分に合格は可能です。目安として、1日2~3時間、年間で800~1000時間程度の勉強時間を確保できれば、十分に合格レベルに達することができます。
40代で会社勤め、更に子供もいるとなると時間の確保が大変だとは思いますが、なんとかできるかどうかでいえば、なんとかできると思います。
行政書士試験は隙間時間を活用した勉強がしやすいため、通勤の時間やちょっとした空いた時間を含めて年間を通して積み重ねていけば結構勉強できるかなと思います。
試験勉強のポイントについては別途解説します。
最低限の収入も確保しやすい?40代ならこのくらいは欲しいという年収は頑張れば稼げると思われる
どのくらい稼げるか?
これは正直なところ人によるとしかいいようがありません。ただ、頑張ればそれなりに稼げると思っています。
具体的には、サラリーマンでいうところの年収1000万円~1500万円くらいは頑張ればいけると思います。40代ならこのぐらいは欲しいなと思うところでしょう。
上記はあくまで1人で開業して誰も雇わずに1人で仕事をするという想定で考えた場合の数字です。
この年収で十分ということであれば、やっていけると思います。
逆に、1人事務所で2000万円、3000万円といった年収が欲しい場合は行政書士だと厳しいかもしれません。
※取り扱う業務とそのときの情勢等にもよります。
行政書士の業務は単価が低くて手間がかかるものが多い
実務未経験でもなんとかなるという記載をここまでで何度かしてきましたが、だからといってサクッと業務が完了できるわけではありません。
自分でやろうと思えばできてしまう申請業務をなぜ外注するのか?それは超絶面倒で手間かかかるからです。
行政側がまとめてくれている許可要件等に関する資料は何十ページ、何百ページもあり、しかもファイルが散らばって存在しています。
この時点で面倒だということで諦める方は結構多いです。
そして、1から順にどうしたらいいかがわかりやすくまとまっているわけではないので、読みながら自分で整理していく必要があります。
生成AIに読み込ませるのも有効な手段ですが、根本的な部分を自分で理解していないと結局落とし穴にハマってしまうので、途中までやって投げてくる方も結構多いです。
また、公的書類の収集を含めて物理的な移動・対応が求められる作業も必須なので、手間・時間がかかります。
なので、この手間を削減する意味合いで依頼は結構あります。
この物理的な手間は行政書士だからといって削減できるわけではありません。
そして、時間は有限です。なので、どうしても利益は低くなりがちです。
ちなみに、すごく手間がかかりそうに感じるので一定以上(正当な)の報酬は請求可能ですが、行政手続きごときにこんなにお金払いたくない、という経営者もそれなりに多いので、儲けるという意味では結構難しいかなと思います。
安売りする必要はありませんが、価値を理解してもらえない場合があります。
そこが少し大変かもしれません。
大きな出費(子供の学費等)を控えているなら合格だけしておいて開業は後回しというのも有
上記で記載したように、ある程度は稼げると思います。
ただ、絶対誰でも稼げるわけではありません。やはり廃業してしまう方もいるのです。
なので、どうしても絶対開業する必要がある、という場合を除いては、現在の生活状況等の振り返りをしてから開業を決断してください。
というのも、売上が0円、出費は膨大という状況が数カ月続くと結構メンタルやられます。
私も開業当初3カ月近くは売上0円でした。
想定内なのですが、やはり現実的に預金通帳がどんどん減っていくのを見るとストレスになりますし、結構不安になります。本当に大丈夫かな?と。
で、焦って変な案件に飛びついてしまったりってことがあります。
40代ともなると子供も大きくなってくるころ合いかと思います。
例えば、お子さんがこれから大学入学でお金がかかるとかそういうイベントが控えているのであれば、配偶者ともしっかり相談して計画を立てるようにしてください。
後は、行政手続きは責任は重いですし急ぎの案件も多いので、本当に対応できる状況か?とかにも注意してください。
行政書士は試験にさえ合格すれば後は登録するだけで慣れますので、とりあえず試験合格しておけば後はタイミング次第です。なので、ご自身の生活の振り返りをまずは行うことをおすすめします。
40代はお金がかかる時期なので創業融資の活用も検討してください
子供の学費や生活費等問題なさそうだな、と思っても、急な出費が増えるのが40代です。
おめでたいことばかりではない出費が増えてくる年齢になってきます。
で、結構お金削られるイベントが急に発生するんです。
そういうことも踏まえて、開業当初の預貯金がまだあるうちに日本政策金融公庫の創業融資をしっかり受けておいてください。金利安いですし。
生活費とは別に開業資金が仮に200万円くらい準備できたとして、倍額以上は申請するようにしてください。
生活費とは別に500万近くあれば精神的にゆとりをもって業務に取り組んでいけると思います。
最初の行政書士登録(30万ちょっとくらいかかる)と事務所契約(30万くらい)、応接セット、パソコン、書籍等なんやかんやであっという間に100万近くはなくなります。
とにかく現金をたくさん準備してください。本当に現金すんごい重要です。メンタル的に。
40代の弱点は凝り固まった価値観と謙虚な態度
経験があると有利に働く一方で、柔軟な対応・発想ができなくなってくる年齢でもあるかと思います。
営業方法や顧客への対応スタンスなど、相手の反応等を見ながら変えていく柔軟性が必要です。また、生成AI等を含めた新しい技術を積極的に取り入れていく積極性も必要です(あわせて慎重さも必要ですが)。
後は、自分より若い方につい偉そうにしてしまうという方もいらっしゃるでしょう。
年齢は若くても自分よりも行政書士として経験豊富な方から教えてもらわないといけない場面もあるかと思いますので、謙虚な姿勢は必要です。
経験は活かしつつも新たな気持ちで取り組んでいく方がうまくいくような気がします。
40代からの行政書士挑戦は大いに「有り」
40代からの挑戦は決して遅くありません。むしろ、これまでの人生経験や社会人経験がそのまま価値に変わるのが行政書士という資格の魅力です。
また、新しい制度・許認可が生まれると同時に行政書士にとっても大きなチャンスになるので、後から参入した人でも自分が第一人者になれる道というのもあります。
実務未経験であっても、真摯に学び続ける姿勢があれば、しっかりと稼げる行政書士になることは十分に可能です。「遅すぎるのでは…」と迷っている方も、ぜひ前向きに検討してみてください。
行政書士試験について気になる方もいるかと思いますので、試験について調べている方はそちらのページもご参考ください。
