「行政書士は食えない」「稼げないからやめとけ」 ネット上の噂や口コミで、そんな言葉を目にしたことがあると思います。
そして、私自身もよく聞かれます。「実際のところ、どうなんですか?」と。
興味本位で聞いてくる方もいますが、中には本当に切実な思いで質問される方もいらっしゃいます。 会社のリストラ候補になっていたり、組織内の人間関係で居場所をなくしていたり……。 「現状を変えるきっかけになるなら」という、すがるような思いを抱えている方々です。
ここでは、会社経営やサラリーマンを経て、現在行政書士(個人事務所)として活動している私の経験から、以下の点について綺麗事抜きで、率直な実感をぶちまけたいと思います。
- なんとなく会社を辞めて行政書士として稼いでいくことは可能なのか?
- 組織に馴染めないタイプにとって、この資格は「食える」選択肢になり得るのか?
なお、本記事は「独立開業」を前提としています。どこかの事務所に雇われたいと考えている場合は事情が全く異なるため(かなり注意が必要なので)、別の記事で解説します。
行政書士で「食う」ことはできる。ただし定義による
結論から申し上げますと、行政書士で「食う」ことは十分に可能です。 私自身、こうして生活ができていますし、廃業せずに続けている行政書士はたくさんいます。
ただ、本題に入る前に一つだけ、整理しておかなければならないことがあります。 それは、「そもそも『食える』の定義とは何か?」ということです。
家族を養う=食える、なら十分可能(年収1000万は射程圏内)
私が思う「食える」の定義は、「配偶者と協力しながら、子供2人くらいを養って生活できるレベル」です。
40代、50代以上で行政書士に転身する場合、これから子供の教育費が大きくかかってくるという方もいらっしゃるかと思います。そうなると、やはり最低でも年収1000万円近くは欲しいというのが本音でしょう。
そしてこの「年収1000万円」ですが、行政書士としてそこそこ頑張れば、問題なく到達できるラインだと感じています。
「どんな仕事でも独立すれば1000万円くらいいくでしょ?」 そう思われるかもしれませんが、「個人事業主」という括りで見た場合、行政書士はかなり有利な位置からスタートできるものと考えます。もっとハードルを下げて「年収500万~800万円(一般的なサラリーマン並み)」で良ければ、さらに難易度は下がります。
一方で、元々の生活水準が高い方など、「2000万円や1億円ないと無理」という場合は、普通に行政書士をやっていたら厳しいです。行政書士は儲かるか?と言われると「爆発的には儲かりにくい」というのが正直なところです。
食えるけど儲けにくいという側面はあると感じます。
※執筆時点(2025年前後)の物価基準です。都心部では1000万だとカツカツかもしれませんが、その分仕事の単価も高いため稼ぎやすくはなります。
行政書士は良くも悪くも超労働集約型業務でブルーカラーに近い面があるから1人だと稼ぎに限界はある
良い点でもあり、悪い点でもあるのですが、行政書士は労働集約型のビジネスモデルです。
許認可1件いくら、相談〇分いくら、調査●箇所いくら、といったビジネスモデルです。
手を動かして仕事をする必要があります。
また、物理的な移動や作業が求められる仕事も多いです。
※自動車登録や出張封印、窓口での提出義務、現場調査がある等。
一部の例外を除き、自分が物理的に動かないとお金になりにくい。時間が有限である以上、稼ぎの上限(天井)はどうしても出てきます。
また、弁護士や公認会計士と比べて単価が低いことにも注意が必要です。 行政書士のメイン業務である許認可申請は、極論を言えば「時間さえあれば申請者が自分でできるもの」が大半です。「自分でできることに高い金は払えない」という感覚は、お客様として当然でしょう。
しかし、「面倒な手間をお金で解決したい」という需要は確実にあります。また、誰でもできるとは記載しましたが、スムーズに進める為には専門知識が必要であり、それは依頼者もわかっています。なので、 軌道に乗れば時給単価5,000円~1万円近く(2万円くらいはいきたい)で働けるようになります。サラリーマン時代以上の年収を確保することは十分に可能です。
稼げるけど安定しない。安心が欲しいならやめた方がいい
食えることは食えますし、そこそこ稼げると個人的には思いますが、正直安定はしないです。良くも悪くも。
仮に年間1000万円稼げるとして、サラリーマンであれば、1000万を12分割(正確には違いますが)するなど、毎月いくらお金が入ってくるか計算がたつかと思います。
一方で、行政書士の場合は1年終わってみたら結果的に1000万円いったな、みたいな感じになるかと思います。
1月は100万円売り上がったけど、2月は20万円、3月は120万円、四月は40万円か、、、みたいな感じで油断できない状況が続きます。
どういうことかというと、行政書士の許認可は単発での依頼が多く、常に新規のお客様の獲得を目指すようなスタイルになるので、毎月0からのスタートとなります。特に1年目2年目は1件終わったらまた次を取りにいくといった感じで常に0→1を繰り返すイメージです。
また、問い合わせから許可が出るまでに数カ月かかるので、売上が確定するのが遅くなりがちという問題もあります。今のところ私は返金しなければならない事態ということになったことはありませんが、前金で仮にもらっていても、それが売上確定になるまで結構時間がかかるので、安心はできません。
なお、一度取った許可の更新や変更業務などもあるので、業歴が長くなってくれば特定の複数のお客様から一定以上の売上が見込める状態を目指していくことは可能です。
そうなれば話は別かもしれません。
ただ、その状態を作るのは行政書士だと結構大変です。時間がかかります。
私もようやく売上が見込めるお客様というのがチラホラ出てきた状況です。結果的に売上はたつけど、見込みがよめるかと言えばまだよめない状況です。
もっとも、今の時代サラリーマンが安定していて安全とも言えないかもしれませんが。
なお、別の記事で記載していますが、単発が多いというのはデメリットばかりではありません。個人的には性にあっています。
食えるようになるまでの時間は正直「人によります」
いつごろ食えるようになるか?人によるとしか言いようがありません。
一口に行政書士といっても、開業する地域、これまでの経験、年齢、スキルは人によってマチマチだからです。
意外かもしれませんが、「行政書士の実務」や「マーケティング」以前のところで躓く方も少なくありません。
見積書や請求書の作り方、契約書の作成、名刺交換のやり方、営業リストの作り方など、「一般的な新卒レベルの社会人としてのスキル」が元々あるかどうかでも、スタートダッシュのスピード感は全く変わってきます。
また、開業する地域によっては、一般的に行政書士が売上をあげやすいと言われている建設業許可や自動車関連の業務が少ない地域もある可能性もあり、そういった属性によって狭まってしまう選択肢の条件的なこともあるかと思います。
なので、全員が全員すぐに食えるようになるとは限りません。人による部分はあるかと思います。
ただ、自分自身が行政書士として開業してやってみて思うのが、そんなに営業頑張らなくても売上はたつようになるかと思います。開業して半年後には行政書士業務だけで100万円近くの売上がたっていましたので、十分短期で食えるようになるかと思います。
※ちなみに、開業3カ月くらいは0でしたので即売上爆発は厳しいと感じています。
行政書士という「看板」の信用力はバカにできない?信用力が高いという事実
私は行政書士という資格を持たない単なるいち個人として仕事をしていたこともあるのですが、ただの元サラリーマンの個人だと信用の問題で仕事が取れないということが結構ありました。法人化していても同じです。
知り合い経由で上場企業の案件がもらえそうだったことがあるのですが、たとえ従業員の知り合いだとしても信用の面で発注はできないといったことになったことがあります。
ただ、行政書士になったとたんに厳密には行政書士業務ではないコンサル案件でも、「国家資格者」という枠組みになることで、なぜか発注OKとなるケースはありました。
※弁護士・公認会計士・司法書士、、、行政書士等は別枠になっている企業はあるっぽいです。なお、弁護士や公認会計士は個人でもOKだが行政書士が入っていないこともありましたので法人によるかもしれません。
また、上場企業相手ではなく、中小企業等であっても、行政書士という国家資格者という立場になると、こちらのサービス内容・金額と相手方の悩みとがマッチさえすれば、さほど売り込まなくても仕事が取れます。
営業活動は必要ですが、信用力が一定以上あるという面で、個人事業主としてはかなり強い状態でスタートをきれます。
「行政書士」という肩書きがあるだけで、「怪しい個人」ではなく「先生」あるいは「まっとうな事業者」としてスタートラインに立てるのは、皆さんが思っている以上に強力な武器です。
営業力が低くても仕事が取れるというのは行政書士の大きなメリット
私がサラリーマンだった頃、新人はテレアポ毎日100件、仕事取れるまで飛び込み営業が当たり前に行われている時代でした。メンタルが削られる毎日です。
100件電話しても1件も仕事にならないということもそれなりにありますので、メンタルがやられます。
ただ、行政書士の場合、テレアポ100件とか飛び込み営業とか大変な思いをしなくても(してもいいですが)仕事は取れます。
ターゲットとする顧客が集まる何かしらの会に参加する、あるいは税理士等の他士業に顔を売って顧客を紹介してもらうなどで食っていくことは十分に可能です。
ただし、顔を売らないと仕事は入ってきませんので、そこは注意が必要ではあるものの、そこまでガツガツ頑張らなくてもなんとかなる場合が多いかと思います。Youtubeで解説動画を出しているだけでも問い合わせはどんどん来るという方もいらっしゃるようです。
私の場合はHPを作って記事を書いているだけで問い合わせがくるので、来た問い合わせに対応しているだけで十分売上がたっています。そして、対応した方々からの紹介というのも増えてきます。
生成AIが普及した今でもネットからの問い合わせは減らないです。というか逆に増えた気がします。
信用力について記載した項目と重なりますが、「ただの個人」がHPを作っても誰も見ませんが、「行政書士」が専門特化したHPを作れば、検索経由含めて見た人からの問い合わせは来るのでしっかり仕事に繋がります。 「営業トークで売り込む」のではなく、「見つけてもらう」仕組みを作れば良いのです(サービス設計とか価格設定等最低限のマーケティング力・調査は必要ですが)。
営業をまったくしなくていいということではなく、それなりに頑張る必要はある
営業力が低くても仕事は取りやすいのですが、営業活動(認知される活動)自体は必要であることにはご注意ください。
行政書士事務所を開業し、電話の前に座っていたらジャンジャンお客様からの依頼があるということにはならないです。
認知してもらわないといけません。
人に会うということに限らず、先ほど記載したWebやYoutubeも認知活動の1つです。
ただ、ここまでで記載してきたように、認知さえしてもらえれば仕事は取りやすいです。
後は、サービス設計と価格設定が非常に重要です。
単に許認可やります!で売り出すと価格勝負になるので、あなたのビジネスを加速する、稼ぐ助けになるよ感のある訴求をするなど、あなたなりの工夫をした方がよろしいかと思います。
なお、私の場合は業務効率化に自信があったので、逆に単純な許認可を安く大量に捌くとかそっち方面で勝負をしているジャンルもあります。
あなたが何が得意なのかを把握し、サービス設計をし、見込み客に見てもらうことを意識しましょう。
完全にほぼ1人(孤独)でもある程度稼げる。一匹狼でもやっていける
コミュ障気味だったり、人とかかわるのが好きじゃなかったりという方もいるかと思いますが、完全一匹狼でも稼げます。ただし、Web活用が必須なほか、業務分野は狭まります。なので、こだわりは捨てていただく必要はあるかもしれません。
相続業務などは多くの関係者や他士業との調整が必要なので、コミュニケーション能力が必須です。一人が好きな人には向きません。
一方で、ドローン飛行許可や古物商許可などは、メールやチャット、電話のやり取りだけで完結する業務も多くありますので、こうした業務を選べば対人ストレスを最小限に抑えられます。
※ただし、メールやチャットだけで済ませると相手がどんな人なのか感覚がつかみにくい等デメリットや本人確認必須の案件もあるのでご注意ください。
私自身、基本的に自分だけで完結できる業務しかやりませんし、他士業との連携も最小限(ほぼ0)です。それでも十分に食えています。 行政手続きなので、行政機関とのやりとりは発生するため「誰とも関わらずに稼ぐ」はさすがに難しいですが、「ストレスのない範囲の人間関係で稼ぐ」ことは可能です。
同業者や他士業から仕事の紹介をもらう、あるいは逆に仕事を紹介することもほとんどないです。なので、そういう性格の人でもやっていけます。
なお、このタイプの人間がやってはいけないのが先ほど記載した相続関連業務です。行政書士の人気業務の1つですが、この分野は多くの専門家が関わる必要があるので1匹狼だと詰みます。また、会わずに済ませることは困難でしょう。相続は一例ですが、1人でやりたい人はこのような分野を選んではいけません。
逆に、多くの人と関わりながら調整役になってやっていける自信がある方は、いろんな分野の業務が成立するので、かなり稼げる気がします。
業務分野の特性については別記事で紹介していますが、1人で完結したいなら、ドローン飛行許可や古物商許可はおすすめです。
なお、念のための記載となりますが、一人で完結できる=楽な業務ということではありません。ドローン等は前例のない飛行の相談とかも結構多いですので、行政側に相談しても解決できず、苦しみもあります。自分で言うのも何ですが、問題を解決する能力が高くないと、仕事はあるけど完了できないといった感じで詰む可能性はあります。
仕事が全く取れない行政書士もいるようだが仕事自体は結構たくさんあると個人的には感じる
開業1年もすると仕事をたくさん経験している行政書士と全く経験できていない行政書士とでわかれてくる傾向にあるなと感じます。
仕事を受任したいのに受任できない行政書士の場合、認知されるための活動を1ミリもやっていない、あるいはまっっっっったく需要のない業務ジャンルを専門にしているといったケースがあります。
超極論ですが、田畑しかない町で風営専門ですと売り出しても仕事が取れないことはなんとなく想像がつくかと思います。ここまでではないにしろ、需要のない場所でやりたいことをアピールしても意味がありませんのでご注意ください。
また、自分がやりたいことを優先するあまり、需要を見落としているケースもあるかと思います。
建設業許可や自動車関係についてはサービスとしてやっていなくてもたまーに問い合わせがくるくらいなので、建設か自動車やっておけば全く仕事が取れなくて廃業するということにはなりにくいかと思います。
破滅的に営業センスがなかったり実務知識を身に着けようとしない人、自分で考えられない人は難しい
仕事をとれない人の中には、営業センスがまるっきりない方もいらっしゃいます。
具体的には、自分のことばかりしゃべる、ヒアリングをしない、費用感を伝えない、お調べして回答しますを多用するなどがあります。
お調べして回答しますということを記載しましたが、これ自体が悪いわけではないのですが、単に勉強不足、事前のリサーチ不足でこうなっているケースは結構要注意です。結構ありがちだと感じます。
新人なら手引きを事前に読み込んでおくのは当たり前ですし、なんとなくこの辺に悩みがあるのでは?ということをリサーチして調べまくった上で面談や相談に臨むべきです。
逆の立場になって考えてみればわかるかと思いますが、専門家に相談しているのに、調べてみないとわかりませんってたくさん言われたら頼もうと思わないですよね?そういうことがわからない方が結構います。わからないことが起きたときの対処法とか事前にシミュレーションしておきましょう。それだけで受任率は高まります。
行政書士として開業すると、心構えから実務知識の勉強(自分で法令を読み込んで考える等)に大きく差が出るなと感じています。私自身まだ開業してそんなに年数が経っていませんので偉そうなことは言えませんが、自分で調べて考えられない方は伸びない傾向にあるなと感じています。
このあたりに気を付けていただければ仕事が取れないということにはなりにくいかと思います。
全国対応が可能な業務が多いから頑張ればどこに住んでいても余裕で食えるはずなのである
一昔前とは違い、今はオンライン申請、郵送申請OK。事前相談必須の案件であっても電話でOKっていう申請は増えています。
昔は物理的に書類を手で持って行って申請あるいは相談をしなければならない業務がほとんどでしたが、今はそうではありません。
そうなると商圏はかなり広がりますので努力次第でどうにでもなります。
実際に、私は立川市に事務所がありますが、お客様は、正直多摩地域を含めた東京都内よりも地方の方が多いです。GoogleMeet、Line、電話、メールでの対応で成り立っています。
なお、オンライン申請が普及したら行政書士の仕事はなくなるのでは?と思う方もいるのですが、行政書士の仕事の8割は書類を作る(申請する)前段階にあります。
役所と調整する、現場がどうなっているのかを把握する、計測する、資料を作る、、、、、といった手間はかなりありますし、判断には専門知識が必要です。正直効率化が難しい業務が結構あると感じます。
物理的に手を動かす・動く必要性があるので、らくらく全国対応ってことでもないのですが、スマホで動画撮ってもらって送ってもらったり、一緒に映像みながら申請書を作っていくケースもあります。どうしても現場にいかないといけないときは出張費をもらう想定にしています(実はまだ出張行ったことないです笑)。
お客様と協力しながらやる必要はありますが、田舎に居ながら東京の案件の申請をするとかもできるケースが多いので、視野を広くすれば全然いろんなところの仕事は取れるかと思います。
依頼者は「それが行政書士の仕事」だと分かっていない
個人事業主は確定申告が必要です。それができる専門家は「税理士」です。ほとんどの方が知っていることです。だから、確定申告しようと思ったら税理士を探します。
一方で、ドローンの申請をしようと思った際に、誰が専門家なのか知っている方は意外と少ないです(近年は認知が高まっていますが)。その他の行政手続きでも同様です。
お客様は「許可を取りたい」「手続きが面倒だ」とは思っていますが、「それが行政書士の仕事だ」とは認識していないことが結構多いのです。
つまり、困ったときに「行政書士を探そう!」となるケースはそんなに多くないのです。
だから、「〇〇市 行政書士」という看板を掲げるだけでは不十分です。 「建設業許可 経験足りない」「ドローン 飛ばすまでにやること」「古物商 警察いきたくない」など、お客様の「悩み」や「解決したいこと」を入り口にしたWeb戦略あるいはコンテンツ戦略、サービス設計が必要です。
「〇〇許可 行政書士」でももちろん一定の需要はありますが、それよりも、お客様の悩みに対する受け皿を用意しておいた方がいいかと思います。
※どんなキーワードが有効かは許認可ごとに違います。
なお、建設業許可や車庫証明・自動車登録等のように、その業界の人が「これは行政書士に依頼するもの」と広く認知されているものであればこの限りではありません。
安定(入金が安定)するの、軌道に乗るのに時間はかかる
簡単な許可でも受任から入金まで1~2ヶ月、長いものだと半年近くかかります。 開業してすぐに仕事が取れたとしても、現金が手元に入るのは数ヶ月先です。
正直、開業1年目はキツかったです。最初の「3ヶ月売上ゼロ」なんてザラにありますし、そこから焦って変な案件に手を出して消耗することもありました。 最低でも半年間は無収入でも生きていけるだけの生活資金、あるいは創業融資で資金を確保しておくことを強くおすすめします。
なお、私は現在時点ではほとんどすべての案件で前金にしています。なので、資金繰りの問題は解決できています。
ただ、実務実績のない開業当初に前金でもらうのはハードルが高いかと思います。少なくとも私はできなかったです。自信がないと前金で受け取れないタイプの人は、最初の資金繰りにご注意ください。
あと、前金でもらっても、売上が確定するのは納品完了時点となるので、どっちにしても油断なりません。
食えるが不安が大きいから割に合うかはわからない
専門家としてしっかりと勉強はしていますが、やはり不安はあります。
自分のアドバイスが本当に合っていただろうか?許可がでなかったらどうしよう?
仕事が取れるかどうかよりも、こうした不安との戦いの方が大きいです。寝れなくなることも正直あります。
ただ、不安はありますが、ちゃんとやればなんとかなるかと思います。
不安になるのは責任感があるからであり、しっかりとやっている証拠と考えて進むしかありません。
どうしても自分の判断だけでは心配であれば、よほど特殊な許認可でもない限りなんとかはなります。行政書士会にも相談窓口がある場合もあります(所属によるかもしれませんが)。
ただ、相当下調べしてお客様との打ち合わせに臨んでいます。私は。
自分の手を使って調べて仮説を立て、判断してやっていくことが重要です。それが一番実務力身につくと感じました。
※ここでいう判断とは自分の頭で考えるという意味です。最終判断や迷うことがあれば仮説をたてたうえで役所とはもちろん相談しています。なお、身の丈に合わない業務や処理しきれないと思う業務(1人事務所で受けたら多分詰むやつ)については、理由を説明して断ったケースもあります。
最近思うのは、責任の割に報酬はちょっと安いのかなと感じるところです。
なので、実体験からも安売りはやめた方がいいなと思うようになってきました。
1年目は正直キツかった。最初は売上思ったより伸びないです。
食える、仕事は取れるとここまで書いてきましたが、行政書士開業1年目はかなりしんどかったです。具体的にしんどかったことは、
・開業3~4カ月目までは仕事が取れるか不安
・ちゃんと期日通りにお金を振込まない人がいることの不安とストレス
・わからないことが多すぎて調べものに時間がかかって寝る時間がなくなる
・月100万超えてやった!と思った翌月の売上が20万くらいと一気に下がるなど
・仕事が取れたら取れたで不安が大きい
というものです。
今から振り返ると、開業してすぐに仕事が来ないのは当たり前であり、焦る必要はないのですが、やはり3カ月近く売上0が続くと精神的には焦ります。その焦りから変な案件に手を出さないように注意が必要です。
この3カ月は種まき期間なので、4カ月目以降徐々に顧客は増えていきました(アップダウンはありますが)。
また、実際に仕事や問い合わせが来るようになってからもかなり大変でした。
依頼相手も個人事業主だったり、小規模企業の社長さんだったりするわけですが、上場企業等とは異なり、コンプライアンス意識が高くないので、請求書発行しても期日を守ってくれなかったりします。結構焦ります。催促するとこっちが悪いことしたのかな?と思うようなことになることがあります。これは結構ストレスでした。
また、お客様からの質問回答や実務で書類を作るのにすごく時間がかかるというのも大変でした。
今なら10分で終わる、回答できることが、最初は丸1日かかったりしていました。やっぱり不安になります。自分の責任で回答するというのは。知っていることでも改めて何度もとにかく調べまくりました。
そうなると自ずと受任できる業務件数も限られ、売上が伸びなくて結構苦労します。
ただ、これを乗り越えればなんとかなります。
1年目の苦労は2年目以降に報われます。3年目以降は結構楽になってくると聞きます。
なお、不安でも実務をやることから逃げないことが重要です。
結論:行政書士は食える。営業力なくても一匹狼でも食える。でも努力は必要
「行政書士は食えない」と言われることがありますが、私の実体験から言えば、それは「やり方次第」です。
むしろ、営業力に自信がない個人や、組織に馴染めないタイプの人にとって、これほど「個人の力でひっそりと、しかし確実に稼げる」資格は他にないのではないかとすら思っています。
行政書士資格自体は弁護士や司法書士、税理士、公認会計士資格と異なり、そこまで難易度は高くありません。楽ではありませんが、何年も勉強しなければならないものではありませんので、それを加味するとなおのことコスパがいい資格だと思います。
- 年収ベースで1000万円程度なら個人の力で比較的早期に十分に到達可能(売上だと1200万くらい)。
- 国家資格としての「信用力」がある
- 完全に一人(孤独)でも完結できる業務もあるので人間関係のストレスから解放することも可能
もちろん、最初の1年は入金のタイムラグや実務への不安で胃が痛くなる日もあります。勉強も努力も必要です。 しかし、会社という組織の歯車として消耗し続けることに絶望しているなら、行政書士という選択肢は、あなたの人生を救う「現実的な脱出ルート」になり得ます。
もし今、組織の中で息苦しさを感じているなら、一度真剣にこの資格を検討してみてはいかがでしょうか。
