年賀状に家紋を入れてもいい?

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年賀状に家紋を入れてみたいけれど、家紋を目にするのはお墓や法事、礼装の着物くらい。
新年のあいさつに入れたら変に思われないか、と迷っている人もいるのではないでしょうか。

先に結論をいうと、年賀状に家紋を入れてはいけないという決まりは見当たりません。
家紋は葬儀で着る喪服だけでなく、婚礼で着る黒留袖にも入るもので、お祝いの場とも縁のある「しるし」です。

気をつけたいのは、入れる位置や大きさ、夫婦で出すときにどちらの家の紋にするか、素材を使うときの利用条件といった、入れ方のほうです。

この記事では、家紋入りの年賀状を作るときに迷いやすい点を検討していきたいと思います。

年賀状に家紋を入れてはいけない決まりはないが注意も

年賀状に家紋を入れてはいけない、という決まりは見当たりません。
家紋入りにするかどうかは、ルールの問題というより、受け取る相手にどう映るかの問題と考えてよいでしょう。

家紋は戸籍に載るものではない

家紋は名字や生年月日のように戸籍に記載されるものではありません。戸籍に何を記載するかは戸籍法第13条で定められていますが、その中に家紋は入っていません。

自分の家の家紋をどんな場面で使うかについて、法律で定めたルールも見当たりません。着物に入れるか、お墓に彫るか、年賀状に刷るかは、それぞれの家の考え方に任されているといえます。

家紋は冠婚葬祭のとき以外見かけない

近年ではそもそも家紋を見たことがない、見たことがあったとしても結婚式やお葬式など冠婚葬祭のときにしか見かけないものになっています。

そのため、年賀状に入れると改まった印象になりやすい面があります。気軽なやりとりをしている相手には少し堅く映ることもあるでしょう。

そのため、もしいれる場合は、相手との関係に合わせて、大きさや入れる場所を加減するのがおすすめです。

気をつけたいのは「入れ方」

家紋入りの年賀状で気をつけたいのが、入れること自体よりも入れ方です。
たとえば、次のような点です。

  • 家紋が目立ちすぎている
  • 夫婦で出すときにどちらの家の紋にするか家族で話がついているか
  • 素材を使う場合はその利用条件の範囲で使っているか
  • 自分の家の紋を正しい形で使えているか
  • 出す相手がだれか

家紋は年賀状のどこに入れる?

家紋を入れるのであれば、裏面(あいさつを書く面)に入れておけば安心です。
宛名面は、郵便番号や住所、宛名を正しく読み取ってもらうための面なので、家紋のような飾りは入れないほうが無難でしょう。

裏面のどこに入れるかで印象が変わる

裏面の中でも入れる位置によって仕上がりの印象はかなり変わります。あくまで目安となりますが、次のように考えることができます。

入れる位置仕上がりの印象向いている使い方
賀詞(がし)の上、中央家紋が主役の、改まった印象親戚など、家紋を話題にしやすい相手
差出人の名前の近く落款(らっかん)のような控えめな印象目上の人を含め、相手を選ばず使いやすい
四隅のどこか和風のアクセント干支のイラストや写真が主役のデザイン
背景に大きく、色を淡く模様として見える印象文字の少ないシンプルなデザイン

賀詞とは、「謹賀新年」「迎春」のような新年をことほぐ言葉のことです。背景に淡く入れる場合は、上に重なる文字が読みにくくならないよう、色の濃さに気をつけましょう。

迷ったら名前の近くに小さく

迷ったときは、差出人の名前の近くに小さく入れる方法が使いやすいでしょう。
書画の作品に押される落款のように、「この家からのあいさつです」という署名の役割を果たしてくれます。
あいさつの言葉の邪魔にならないので、基本的に出す相手を選びません。

気に病むぐらいなら入れない

家紋を入れなければならないわけでもありませんので、悩むぐらいなら入れないという選択肢もあるでしょう。

大きさ・色・干支との組み合わせ方

大きさは名前や賀詞との釣り合いで決める

差出人の名前の近くに入れるなら、名前の文字2〜3字分ほどの大きさにしておくと、名前より目立ちすぎずに済みます。
賀詞の上に主役として入れる場合も、賀詞の文字より大きくしすぎないほうが、あいさつ状としてまとまって見えるでしょう。

色は墨色・朱色・金色が使いやすい

家紋の色で、年賀状の雰囲気は大きく変わります。筆者の考える目安は次のとおりです。

色印象向いている相手・デザイン
黒(墨色)落ち着いた、改まった印象目上の人や仕事関係の相手
朱色華やかで、お正月らしい印象親しい相手、明るいデザイン
金色晴れやかで、格調のある印象賀詞を主役にした和風のデザイン

黒地に紋を白く抜いたデザインは、紋付の礼装を思わせる重みが出ます。少し堅く映るかもしれません。

なお、一般的な家庭用プリンターでは、光沢のある金色は出せません。
金色で刷りたい場合は、金色の印刷や箔押しに対応した印刷サービスを選ぶ必要があります。対応しているかどうかはサービスによって違うので、注文前に確かめておきましょう。

干支や写真と組み合わせるとき

家紋も干支のイラストも、それぞれが目を引く要素です。両方を大きく入れると、どこを見ればよいかわからないデザインになりがちです。どちらかを主役にして、もう一方は小さく添えると、まとまりやすくなります。

家族写真入りの年賀状なら、写真の余白に小さく家紋を添える程度にしておくと、写真の邪魔になりにくいでしょう。

形は崩さずに使う

家紋は、形そのものが紋を見分ける手がかりです。縦横の比率を変えて引き伸ばしたり、一部を切り取ったりすると、正しい形ではなくなってしまいます。左右を反転させると別の紋として扱われるものもあるので、データは向きを変えずに使いましょう。

夫婦連名の年賀状、家紋はどちらの家のもの?

夫婦連名で出す年賀状にどちらの家の家紋を入れるか、決まった作法は見当たりません。家族で話し合って決めればよいことです。

着物でも考え方は家や地域で分かれる

紋付の着物でも、結婚した女性が実家の紋を使うか、嫁ぎ先の紋を使うかは、地域や家によって考え方が分かれるとされます。結婚した女性が、嫁ぎ先の家紋とは別の紋を使う「女紋(おんなもん)」という習慣がある地域もあるとされています。

選び方の例

年賀状に入れる紋の選び方には、たとえば次のようなものがあります。

選び方よいところ気をつけたいところ
差出人として書く名字の家の紋を入れる名字と紋がそろい、受け取った人にもわかりやすいもう一方の実家がどう受け止めるかに配慮する
両家の紋を並べて入れる両方の家に配慮できるはがきの上がにぎやかになりやすい
出す相手によって入れ分ける夫側の親戚には夫の家の紋、妻側の親戚には妻の実家の紋、と使い分けられるデザインが2種類になり、手間や費用が増えることがある
家紋は入れないどちらの家にも偏らない和の雰囲気は、和風の柄や干支のデザインで出す

親戚に出す分は先に確かめる

本家と分家で紋が違うことや、実家の紋を大切にしている親がいることもあります。親戚に出す年賀状に家紋を入れるなら、どの紋を入れるか、先に家族に確かめておくと安心です。

相手によって受け止め方は変わる

家紋入りの年賀状がどう受け止められるかは、相手との関係によって変わります。筆者の考える目安は次のとおりです。

相手受け止められ方の目安工夫したいところ
親戚同じ家の紋なら話題にしてもらいやすいどちらの家の紋を入れるか、先に家族と確かめる
上司・目上の人改まった印象になる家紋は控えめな大きさにし、あいさつの言葉を丁寧に
親しい友人珍しさから話のきっかけになることも大きく入れすぎず、明るい色やデザインと合わせる
取引先(会社として出す場合)個人の家紋は場違いに映ることも会社の年賀状には社章やロゴを使う
家紋に詳しい年配の方紋の形や名前に目が行きやすい形や名前を間違えないよう、正確なデータを使う

家紋入りの年賀状は、受け取った人との会話のきっかけにもなります。紋の名前や、家に伝わる話を知っていれば、年始のあいさつのついでに話題にできるでしょう。

自分の家紋がわからないとき

自分の家の家紋がわからない場合は、まず身近なところで確かめてみましょう。手がかりになりやすいのは、たとえば次のようなところです。

  • 親や祖父母、親戚に聞く
  • お墓の墓石を見る
  • 紋付の着物や羽織、喪服を見る
  • 仏壇や、代々受け継いできた道具を見る

形がわかっても名前を確かめる

形はわかっても、紋の名前まではわからない、ということもあります。家紋には似た形のものも多いので、名前を確かめずに素材集から似た紋を選ぶと、別の紋を入れてしまうおそれがあります。

確かめられないなら無理に入れない

どうしても確かめられない場合は、無理に家紋を入れず、和風の柄や干支のデザインにしておくのも一つの方法です。年賀状が届いたあとで、親戚から「うちの紋と違う」と言われるよりは安心です。

家紋の素材を使うときに確かめたいこと

家紋のデータは、素材サイトや書籍・ソフトの家紋素材集などから手に入れることができます。使う前に利用規約で次の点を確かめておきましょう。

  • 個人の年賀状に使ってよいか
  • 印刷会社にデータを渡して印刷してもらってよいか
  • 色や大きさを変える加工が認められているか
  • 提供元の名前の表記(クレジット)が必要か

利用条件は素材ごとに違います。
「無料」と書かれていても、どんな使い方でも認められているとは限りません。

特定の家や機関のしるしとして知られる紋は避ける

たとえば皇室のものとして使われている菊の紋などは避けた方が良いでしょう。
国土交通省のサイトで公開されている多言語解説文データベースでも、菊と桐の模様はもともと皇室の印章として作られ、今日では菊のほうが印章として使われていると説明されています。

このように、特定の家や機関を表すしるしとして広く知られている紋を、自分の家の家紋のように年賀状に入れるのは避けたほうが無難です。
受け取った人に意図しない誤解を与えかねません。

家紋入りの年賀状を作る方法

家紋入りの年賀状の作り方は、大きく分けて次の5つです。

作り方向いている人気をつけたいところ
印刷サービスのデザインに家紋を加える手間をかけずにきれいに仕上げたい人家紋を加えられるかどうかは、サービスやデザインによって違う
自分で作ったデザインを入稿して印刷してもらう配置や色を細かく決めたい人入稿できるデータの形式や大きさを、各サービスの案内で確かめる
家庭のプリンターで印刷する枚数が少ない人はがきの種類に合った用紙設定にし、試し刷りしてから刷る
家紋のスタンプ(ゴム印)を押す一枚ずつ手作りの風合いを出したい人かすれやにじみが出ないよう、試し押しをしてから押す
手描きする筆や絵に慣れている人形が崩れると、別の紋に見えてしまうおそれがある

自作のデザインを入稿するときの準備

自分で作ったデザインを印刷サービスに入稿する場合は、次の点を確かめておくと失敗が減ります。

  • 家紋のデータは、拡大しても線がぼやけないものを用意する。ベクター形式(拡大しても画質が落ちない形式)のデータがあれば、それを使うと線がきれいに出る
  • 画像で入稿する場合は、そのサービスが推奨する解像度を満たしているか確かめる
  • 注文前の確認画面や見本で、家紋の形が崩れていないか、端が切れていないかを確かめる

スタンプで押すなら

家紋のスタンプを差出人の名前の近くに落款のように押すと、印刷にはない手作りの風合いが出ます。ただ、枚数が多いと手間がかかり、押し損じも出やすくなります。枚数が多いときは、家紋も印刷で入れてしまうほうが確実です。

家紋入りの年賀状を印刷サービスで作るなら

家紋入りの年賀状をきれいに仕上げたいなら印刷サービスを使うのが近道です。
家紋を入れる前提で選ぶなら、次の点を確かめておきましょう。

  • 自分で作ったデザインや画像を入稿できるか
  • 入稿できるファイルの形式と、推奨される解像度
  • 家紋を入れる余白のある和風デザインがそろっているか
  • 金色の印刷や箔押しなど、家紋を引き立てる加工があるか
  • 注文前に仕上がりを確かめられるか(確認画面や見本の有無)
  • 宛名印刷や投函の代行に対応しているか
  • 喪中はがきや寒中見舞いの印刷も扱っているか

最後の点は見落としがちですが、喪中の年や、年賀状を出しそびれた年にも同じサービスで済むので、毎年使うなら確かめておく価値があります。

2027(令和9)年用の年賀状の日程

日本郵便が2026年8月31日に発表した、2027(令和9)年用の主な日程は次のとおりです。

日付内容
2026年11月2日年賀はがきの販売開始
2026年12月19日までこの日までに出した年賀状は、通常の郵便物として年内に届く
2026年12月20日年賀状の引受開始(従来は12月15日)
2026年12月27日元日に届けるための差出日の目安(従来は12月25日)
2027年1月15日年賀はがきの販売終了(従来は1月10日頃)

印刷サービスに注文する場合は、印刷と配送にかかる日数も見込んで、差出日の目安から逆算して注文しましょう。注文の締め切りはサービスごとに違うので、各サービスの案内で確かめてください。

よくある質問

会社やお店の年賀状に家紋を入れてもいいですか

お店のしるしとして家紋を使ってきたのであれば、その紋を入れるのは自然です。
一方、会社名義の年賀状に経営者個人の家の紋を入れると、会社を表すしるしだと受け取られるかもしれません。
会社の年賀状には社章やロゴを使い、家紋は個人名で出す年賀状に入れるほうがすっきりします。

家紋の名前も書き添えたほうがいいですか

必ずしも必要ではありません。ただ、紋の名前を小さく添えておくと、相手が紋に興味を持ったときの話のきっかけになります。添えるなら、読み方も含めて正しく確かめてから入れましょう。

毎年同じ家紋のデザインでもいいですか

家紋は年ごとに変えるものではないので、同じ紋を使い続けてかまいません。干支や写真、あいさつの言葉を毎年変えれば、家紋は「わが家のしるし」として定位置に置いておけます。

家紋がわからない場合、自分で作った紋を入れてもいいですか

家紋は戸籍に載るものではなく、新しく紋を作ることを禁じるルールも見当たりません。ただ、受け取った人には、代々伝わる家紋だと思われる可能性があります。気になるなら、「わが家の紋を作りました」などと一言添えておくと、誤解を防げるうえに話のきっかけにもなります。

まとめ

年賀状に家紋を入れてはいけない、という決まりは見当たりません。家紋は戸籍に載るものではなく、どこに使うかは各家の考え方に任されています。婚礼の黒留袖にも葬儀の喪服にも入る紋なので、年賀状に入れたからといって、縁起が悪いと考える必要もないでしょう。

気を配りたいのは入れ方です。家紋は裏面に入れ、迷ったら差出人の名前の近くに小さく添えると、相手を選ばず使えます。夫婦連名なら、どちらの家の紋にするかを家族で決めておき、素材を使うときは利用条件を確かめましょう。皇室の菊の紋のように、特定の家や機関のしるしとして知られる紋は避けたほうが無難です。

自分の家紋がわからない場合は、無理に入れず、まず確かめるところから始めてください。家紋入りの年賀状をきれいに仕上げたいなら、自作のデザインを入稿できる印刷サービスを使うのが手軽です。2027(令和9)年用は、元日に届けるための差出日の目安が12月27日なので、そこから逆算して準備を始めましょう。

参考資料

  • 京都市「国指定伝統的工芸品(染織)」 https://www.city.kyoto.lg.jp/sankan/page/0000041367.html
  • 京都府「京黒紋付染[京都府の伝統的工芸品等]」 https://www.pref.kyoto.jp/senshoku/kuromon.html
  • 法務省 日本法令外国語訳データベースシステム「戸籍法」 https://www.japaneselawtranslation.go.jp/ja/laws/view/4409
  • 国土交通省 多言語解説文データベース「唐門」(PDF) https://www.mlit.go.jp/tagengo-db/common/001553364.pdf
  • 日本郵便「2027(令和9)年用年賀はがき等の発行概要」(2026年8月31日、PDF) https://files.japanpost.jp/assets/34d9d11432734cfaa759e78fe395b688/159168aef19d465baf3350d358e46fa9/20260831_02_06.pdf

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。家紋の由来や使い方の慣習には諸説あり、地域や家によって考え方が異なります。家紋素材の利用条件や、印刷サービスの仕様・料金・注文の締め切りは、各提供元の最新の案内をご確認ください。年賀状の日程や郵便の取り扱いについては、日本郵便の最新の案内をご確認ください。本記事の情報を利用したことにより生じたいかなる損害についても、当サイトは責任を負いかねます。

執筆者情報

樋口智大(行政書士)

アロー行政書士事務所の行政書士。
ドローン飛行許可申請や酒類販売業免許申請、古物商許可申請等の許認可取得のサポートをしています。
行政書士になってから紙・電子含めて印鑑と向き合う機会が増えました。また、酒類販売業免許をやっていると海外取引に触れる機会も多いことから、印鑑文化が海外では通用しないこと(サインが基本等)など、印に対するさまざまな経験をしたことにより、逆に興味を持つようになり、このような印鑑に関するブログを運営しております。歴史が好きなこともあり、歴史や家紋についても解説しております。